「女王国の城」有栖川有栖を読んでの感想(書評006)

ミステリ書評
不思議管理人
不思議管理人

今回は有栖川先生の学生アリスシリーズ第4弾!「女王国の城」についての感想を綴っていきます。今回はシリーズ初の上・下巻による長作にして、現時点でシリーズ最新作となります。

内容紹介(あらすじ)

ちょっと遠出するかもしれん。そう言ってキャンパスに姿を見せなくなった~中略~江神さん。向かった先は<女王>が統べる聖地らしい。~中略~部長はここにいるのだろうか、いるとしたらどんな理由で?~中略~

江神さんと再開できてほっとしたのも束の間、人類協会の総本部で大事件が発生。それなのに、教会は外部との連絡を断ち自力で犯人を見つけるという。どうしてこうなってしまうの?殺人事件に巻き込まれるだけでたくさんなのい、また閉じ込められてしまった。~中略~

上巻の裏表紙、下巻の裏表紙からそれぞれ抜粋させて頂きました。お決まり(?)のクローズドサークルですね。こんどは新興宗教も絡んでます。そこで繰り広げられる殺人事件の内容とは?また、江神さんがその宗教の聖地に向かった理由は?上下巻の長編によって引き起こされるサスペンス・ミステリー!

感想(ネタバレあり)

いや~、今回もやられました。犯人、全然当たりませんでした。

かなり気合を入れて挑んだんです。一字一句見逃さないように、内容を忘れないようにと、エクセルにメモを取りながら読み進めた結果、メモの行数はなんと677行!(1行平均25文字として推定16,925文字!原稿用紙42枚分!)検索機能や表作成も活用して、推理効率は大幅アップ!これで推理力も200%になった気でいました。

しかし!その文明の利器をもってしても、有栖川氏の牙城は壊せませんでした。

さて、そんな悔しさをさておき、本作の内容について語りたいと思います。正直なところ、学生アリスシリーズの中で一番面白かったと断言できます。上巻を読み終えた時点で、11年前の事件(殺人事件と手紙が消えた事件の2つ)、江神が女王国にやってきた理由、教会の不可解な行動など、気になる謎がてんこ盛りで、読みながらお腹いっぱい状態に。でもそれらの謎が、下巻で一気に収束していくんです。この展開の鮮やかさには驚かされました。

特に「読者への挑戦状」では、完全に意味不明な状態に陥ったので、落ち着いて状況を整理。けっこういい線まで推理を詰められたつもりだったのですが……決定的に外しました。凶器の入手方法、あれはさすがに思いつきませんでしたね。

ちなみに私の予想した犯人は吹雪たんでした。ほら、ちょっと意外な線をついているでしょ?(笑)でも、予想しておいて「いや、そんなはずはないか」と自分で否定。怪しそうな本庄伽耶の線も考えたのですが、彼女が札幌出身ということで、11年前の事件に絡んでいないと判断し外しました。結局、推理はあと一歩、いや三歩くらい届きませんでした。悔しい!

不思議管理人
不思議管理人

この敗北を糧に、次回こそリベンジを果たします!幸い、シリーズ最終作(予定の5作目)はまだ執筆されていないとのこと。気長に待ちながら、有栖川作品をもっと読んでレベルアップしておこうと思います。

アリス先生、次こそ勝負です!(何度目のセリフだこれw)

謎と答え(完全ネタバレ)

ここからは今作の謎と答えを備忘のために書いておこうのコーナーです。完全ネタバレ部分ですが、答え部分は伏せておくので、読後に思い返したい場合にクリックしてください。

江神が神倉に入った理由は?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

父に会うため。(アリスたちには卒論の調査とウソをつく)

11年前の事件で玉塚はどのように殺された?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

工藤を殺したうえでの自殺。チェーンも自分でかけた。銃はたまたま居合わせた青田少年がとっていった。(床が掃き清められていたのも、彼が掃除したからだろうと思われる。工藤はおそらく沼の底)

11年前の事件で小屋を燃やそうとしたのは誰?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

青田少年。指紋などがついているか不安になったため。新聞紙に火をつけて投げただけなのがいかにも少年らしい。晃子への手紙がなくなっていたのは、火をつける際に灯篭の日を利用したから。重しがとれて手紙は飛んで行った。

11年前の事件の日に家でした晃子の彼氏は無関係?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

11年前の事件そのものとは無関係。

協会が5月21日まで時間稼ぎする理由は?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

その日に身代金を渡し、公子が返ってくる想定だったため。

石黒操から預かった資料の中身は?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

教会内に江神の父がいることを示した資料

吹雪の江神への謝罪時に、稲越が吹雪を呼び出したほどの急用とは?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

誘拐犯からの電話。

教会が事件を自分たちで解決したいといった理由は?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

警察を呼ぶと公子を殺すと誘拐犯に言われていたため。

読者への挑戦:土肥、弘岡、子母沢を殺した犯人は誰か。

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)


青田。母の病死を御影にもてあそばれたため。御影の予言が外れればよいと思い、御影が予言した幹部候補を殺した。
土肥を殺し、聖洞から11年前に隠した拳銃を入手。テープを回収。誘拐事件が起きたことから警察を呼べないと予想し、夜の時間に子母沢を射殺。テープを子母沢の瞑想室においたが、塔から降りたところを弘岡に目撃され、弘岡も射殺。テープは子母沢のところに置いたままとしたので、テープだけ宙に浮いた。弘岡がその日に死ぬと、御影の予言通りになってしまうため、死亡推定時刻をずらすために、死後硬直を利用した発砲を起こした。

タイトルとURLをコピーしました