「孤島パズル」有栖川有栖を読んでの感想(書評004)

ミステリ書評
不思議管理人
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今回は巨匠有栖川先生の学生アリスシリーズ第2弾!「孤島パズル」の感想を綴っていきます。タイトルからして、何やらワクワクしてしまいますよね。本作は有栖川先生の2作目となっていますが、私が有栖川作品に触れた初めてのミステリでもあるので、個人的にも思い入れの深いタイトルです。

本作との出会い

私がミステリ小説にハマるきっかけとなった作品は、綾辻行人先生の「十角館の作品」ですが、それ以来特に「クローズドサークル物」が好きになり、それらの作品を追いかける中で、「孤島パズル」に出合いました。ちなみにこの作品、モアイ像が出てきます。そんな下情報もあり、古代ミステリフリークである私はすぐ飛びついたという感じでした。

内容紹介(あらすじ)

南の海に浮かぶ渡嘉敷島に十三名の男女が集まった。(~中略~)折悪しく台風が接近し全員が待機していた夜、(~中略~)滞在客の二人がライフルで撃たれ、無残にこときれていたのだ。無線機が破壊され連絡船もあと三日間は来ない(~中略~)

本の裏表紙から引用させて頂きました。わかる人にはわかっていただけると思うのですが、このクローズドサークルの感じがたまらないんです。更に先ほども触れたように、この島にはいくつのもモアイ像が立っていて、それらが何らかのお宝のヒントになっている噂もあり、殺人事件とモアイ像の秘密が入り混じり、目が離せない展開が続いていきます。

感想(ネタバレあり)

ミステリ小説を読むとき、皆さんはどんなスタンスで挑んでいますか?私はまるで探偵のように、パソコンでメモを取りながら伏線を見逃さないように注意を払っています。もちろん、犯人を当てる気満々です。しかし、これまで読んできたミステリのほとんどは、犯人もトリックもわからないまま。たまに犯人だけはわかることもありますが、トリックまで見抜けたことは一度もありません。

『孤島パズル』でも、果敢に挑みましたが結果は「犯人はなんとなくわかるけど、それが限界」。殺害方法や犯行の動機については、結局最後まで解けませんでした。

作中で描かれる望楼荘と魚楽荘の地理条件(ボートで15分、自転車で30分、徒歩で1時間半)は、トリックの一部に絡むだろうと目を光らせていましたが、見事にその裏をかかれました。確かに立地は重要な鍵となるのですが、想像を超える使われ方で、「やられた!」という思いが強く残りました。また、「点→線→面→立体→時間」といった形でパズルが進化していく観点も、とてもユニークで楽しめました。

特に印象に残ったのは、ストーリー(推理)の骨格である「1つの状況から全体を推理する」展開です。たとえば、タイヤの跡と自転車を使ったアリバイ崩し。そこから推理が雪崩のように展開していき、主要な謎が次々に解き明かされていく手法は圧巻でした。一方で、細かい疑問点や些末な部分は後回しにし、犯人に自供させる形で補完していく展開も斬新で新鮮な読後感をもたらしてくれました。

不思議管理人
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『孤島パズル』は、読者を引き込む巧妙なトリックと、緻密に作り込まれた推理が光る作品です。挑戦する気持ちで読んだものの、最終的にその完成度に圧倒される――そんな読書体験ができる一作でした。

謎と答え(完全ネタバレ:閲覧注意)

ここからは今作の謎と答えを備忘のために書いておこうのコーナーです。完全ネタバレ部分ですが、答え部分は伏せておくので、読後に思い返したい場合にクリックしてください。

第一の殺人

ダイヤは誰の手に?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

平川、和人の遺書はほとんど真実。口止め料のみフィクション。

須磨子はどのように打たれた?掛け金はどのようにして掛けられた?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

ドアを開けていきなり打たれた。すべてを悟った須磨子は順二に遺産が行くように最後の行動をとった。(ドアに掛け金)

落ちていたライターは殺人とは無関係?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

礼子は最初完吾は見えなかった。(ライターを拾おうとしていたため)須磨子を打った後、立ち上がったため打った。

第二の殺人

魚楽荘にボートで向かう礼子の目的は?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

凶器のライフルを事前に運ぶため

ジグソーパズルがバラバラだった理由は?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

レイコと書かれていたから。

殺害時の状況は?無抵抗だった?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

すべてを悟って観念した。日記とメモの処分を礼子に依頼。

肖像画に対する純二の憎悪の表情の理由は?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

作品中に明確な答え描写無し。おそらく須磨子との関係を知っていたからと思われる。

メモについたタイヤの跡はどのようにして付いた?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

望楼荘から魚楽荘まで泳いで行き、自転車で帰る(ここでメモを落とす)。自転車を戻し(ここでメモを踏む)、泳いで帰る。自転車のアリバイから単独犯が確定。

第三の殺人

自白の理由は?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

自白内で話した理由そのまま。

なぜ無抵抗?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

自分が殺される意味が分からなかった。

犯人が紙切れを持っていたのは?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)

平川に処分を頼まれたから。

里見が最後眠そうにしていたのは?

確認したい場合はクリック(完全ネタバレ:閲覧注意)


夫が犯人だと思って監視していたから。

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