人体が突然、何の前触れもなく燃え上がる「人体自然発火」現象。多くの人がホラー映画の中の話だと思うかもしれませんが、これまでに200件を超える実例が報告されています。この記事では、いくつかの実例や共通点、そして仮説についてご紹介します。人体自然発火はただの都市伝説か、それとも実際に起き得るのか?その謎に迫ります。
人体自然発火の実例
いくつかの著名な事例を見ていきましょう。奇妙で不気味なこの現象には、科学では解明しきれない謎が多く存在しています。
1. メアリー・リーサー(1951年)
1951年、アメリカ・フロリダ州の67歳女性メアリー・リーサーは、アパートで焼死しているのが発見されました。発見時、彼女の体はほぼ灰になり、わずかに足が残されていました。驚くべきことに、アパートのドアノブは触れないほど熱を帯びていたにもかかわらず、部屋の家具や壁には火の気がありませんでした。リザーの頭蓋骨は縮んでいたとされ、その異様さが話題となりました。
2. ジョン・ベントレー(1966年)
1966年、ペンシルベニア州のジョン・ベントレーという92歳の男性が、足だけを残して焼け落ちているのが発見されました。ガスの検査員が彼の家を訪れたところ、煙が漏れているのに気づき、室内で焼け焦げた遺体を発見。火がついた原因や火源は見当たりませんでした。
3. ロバート・ベイリー(1967年)
1967年9月13日、南ロンドンの倉庫でホームレスのロバート・ベイリーの遺体が発見されました。彼の体は青い炎に包まれていたと報告され、4センチほどの切り傷から発火したという奇妙な事実も記録されています。何が彼を燃え上がらせたのか、いまだ謎のままです。
4. アイルランド・ゴールウェイシティ(2010年)
2010年12月、アイルランドのゴールウェイシティで、仰向けに倒れて黒焦げになった女性が発見されました。隣の家の火災報知器が夜中3時に鳴ったために発見されましたが、火災の原因は特定されず、人体発火現象と報告されています。
共通する奇妙な特徴
過去の人体自然発火事件には、いくつかの共通点が見られます。以下に、主な特徴を挙げてみましょう。
- 被害者の多くは高齢者か独り身:事件が起きるのはほとんどが自宅で、犠牲者がアルコール中毒者であるケースも多いです。
- 手足が燃え残る:遺体は激しく燃えていますが、なぜか手や足が無傷で残ることが多いようです。
- 油っぽいにおいの灰が残る:焼けた現場には、油のような臭いを発する灰が残されることがあります。
さまざまな仮説
人体自然発火の説明には、多くの仮説が唱えられていますが、科学的に証明されたものはありません。その中でも特に有名なのが「ウィックエフェクト」です。
ウィックエフェクト(ロウソク効果)
ウィックエフェクトは、脂肪がロウソクの芯のように燃え続ける現象を指します。この理論では、衣服や髪の毛が燃え始めると、体内の脂肪が燃料として火を保ち続け、体が長時間かけて燃えるのだとされています。アルコール中毒で昏睡状態の被害者は火がついても気づかず、ウィックエフェクトが進行しやすいと言われています。
実際、ブタの脂肪を用いた実験で約930度まで加熱され、骨すらも残らず燃え尽きたケースが報告されています。とはいえ、ウィックエフェクトには「外部の火源が必要」という点があり、自然発火現象自体を完全に説明するには不十分な部分もあります。
静電気説
静電気が体内で蓄積され、突然放電されることで発火するという説もあります。しかし、静電気のエネルギーが人間を焼き尽くすほどの力を持つとは考えにくく、あくまで理論上の仮説にとどまっています。
人体自然発火の正体は?
人体自然発火現象は、長年にわたりホラーやオカルトとして語られてきましたが、現代科学でもその存在を完全に否定することはできていません。ウィックエフェクトによって一部のケースが説明できるとしても、実際に人が自然に燃え上がるという現象が存在するのか、それとも何かの誤解が生じているだけなのか、今も謎は深まるばかりです。
信じるか信じないかはあなた次第ですが、人体自然発火というテーマは人間の理解を超えた現象の可能性を感じさせてくれます。
2010年にアイルランドで起きた事例では、正式な死因として人体自然発火が認められました。それ以外には原因が考えられない状況だったということです。ウィックエフェクトではタバコやライターなど外部の火種が必要となりますが、火種が無い状況でも発生例は報告されています。真の原因は何なのか、現代科学をもってしても解明できない謎が転がっていることに驚くばかりです。